28話 ワースト常連のニノイ・アキノ空港
海外旅行の中継地点でどうしても行かないといけない空港の中でも、マニラのニノイ・アキノ空港(NAIA)は世界的に評価が低い。
タイ航空が第1ターミナルでANAが第3ターミナルを使用していたが、昨年ターミナルの変更があったらしい。第2ターミナルは一番ダメな空港だと思った。
入場制限をしないと関係ない人であふれてしまうので、ターミナルの入り口でチケットのチェックと手荷物のX線検査があり、出国時にも荷物検査がある。これで時間がかかる。
流石はワーストと呼ばれる空港で、日本人を見つけると、係員が100ペソで並ばず入れてくれる。意地でも払わないが。並んだほうがマシである。
NAIAの今までの印象とダメな話。昨年から利用していないが、今後も行きたくない。
第1ターミナル
現在はJAL、フィリピン航空などが利用できる。喫煙者には喫煙場所を探すミッションが常に与えられている。以前は出国後、ターミナルのど真ん中の階段を上がると秘密の喫煙場所があった。
なぜ秘密かというと、店自体がコソコソしているのだ。入場するためにフィリピンにしては高価な500円のコーヒーを頼むが、なぜか店員がソワソワしている。
そんな訳はないのだが、空港には内緒な感じ。いけない事をしている雰囲気がたまらなかった。隣の部屋は韓国系のラウンジだった。
閉鎖された時の喪失感はハンパじゃなかった。
第2ターミナル
以前は最悪だったから、今もそうだと思う。このターミナルだけレストランがない。飲食店がなくはないが、今さらパンdeマニラとか買いたくない。葉巻を売るくらいなら、ジョリビーでも入れてほしい。
2時間前に入ると喫煙所もないし、やることがホントにない。最悪。
ラウンジはあるけど、フィリピン航空のビジネスクラスか上級会員のみで日本人には関係ない。一度だけ入ったが、たいしたものはなかった。
ただ、以前は簡単に避けることができた。第2がフィリピン航空専用だったから、利用しなければ良い。
今は国内線専用らしいので、1時間前で良いのだろう。
第3ターミナル
一番良いターミナル。ANAとタイ航空などが利用できる。プライオリティパスを持っていると入れるラウンジに牛丼と喫煙所があるだけでもありがたい。1週間も旅するだけで、ラウンジの牛丼を楽しみにしてしまう。ビュッフェなので紅ショウガ大盛だ。
出国後でもスタバがあるし、IQOS専用の喫煙所も搭乗口付近にある。お土産も買えるので安心。まだ間に合う。
第2ターミナルの想い出
だいぶ前だが、はじめて利用した時に喫煙所の場所が分からなかったので清掃の人に聞いた。コッチだと案内されたのでついていくと、8畳間くらいの障害者用のトイレだった。
「ココで吸っていいの?」そんな訳ないが聞いてみた。
「OK!」 ドアが開いて清掃員が8人ほど入ってきた。異常事態である。
50ペソをチップであげようと手渡したら、1000円札を見せてきた。
「オミヤ~ゲ!」
なぜ1000円札を持っているのか?清掃員はいっぱいいるし。
覚えたてのタガログ語を大声で発射した。
「マハール ディバ!」(高いでしょ!)
途端に蜘蛛の子を散らすように清掃員たちが逃げ出した。
助かった。やってみるもんだ。
だから、第2ターミナルには行きたくない。
死ぬかと思ったタクシー
出発階で客を降ろしたタクシーに乗ることは有名だが、NAIAでは二度としない。
今思えば、降ろした直後ではなく、待っていたタクシーに乗りパサイのホテルまで行ってもらった。
何度も同じターミナルから同じホテルに行っていたので道は知っている。おじいさんだったので舐めてしまい、メーターを使っていないのに気が付いたのは空港を出た時だった。
いつもは乗ったらすぐにメーターを使うように頼むが、結構断られる。そんな時は値段を交渉した。
ちなみにメーターを使わないヤツには
「このタクシーは無料なの?」
と嫌味を言うようにしている。そうすると嫌々メーターを入れることが多い。
今回もそうしたが、じじいの答えは違った。
「ノープロブレ~ム ワンキロ ツーハンドレット~」
ホテルまでは4キロくらいだが、120ペソくらいのハズ。「面倒だな。」と思っていると、いつもと違う方向に走り出す。こいつはアカン奴や。
日本から到着した直後の日本人は大金を持っていることくらい承知の上なのだろう。空港から乗ったタクシーに殺された日本人の話を思い出した。
または、日本人を乗せたタクシーが停車したら外からドアを開けようとするくらい治安の悪いところまで走り、
「いまドアを開けるか10万ペソはらうか?」
みたいな話も聞いたことがある。助手席に乗っていたので殴って逃げようかと思ったが、ナイフやピストルが出てきたらシャレにならない。
(止まったタイミングで逃げるか?)
と思ったら、なんと赤信号をガソリンスタンドの中を通り抜ける事で回避して意地でも止まろうとしない。
バレてる。幸いなことに荷物はリュック一つなので止まることを祈っていた。逃げよう。
交差点付近で止まった。今しかない!しかも、交通整理中の警官がいる!
ドアを開けて飛び出し、警官まで走る。
「あのタクシーに脅されたんです!」
振り向いたらもういなかった。助かった。しかも、ここは危ないから白バイで送ってくれると。なんてイイ人なんだ!
ホテルの近くまで走ると、なぜかガソリンスタンドに入っていく。あれ?
「500ペソくれ」
制服は警官ぽいが、装備が一切ない。なんだコイツ警官じゃないのか。
だから、NAIAには行きたくない。