29話 セブのマクタン島
想い出なので5年以上前の話です。
フィリピンという国は、謎が多く興味をそそられる。そのせいで何度も行ってしまったが、謎が解けたときのアハ体験が快感だった。
セブ島の大きさは山梨県と同じくらい。空港は隣の小さなマクタン島にしかない。マクタン島の大きさは、大田区と同じくらい。
お互いの住人が違う国と言うくらい発展の度合いが違う。以前のマクタン島には信号が2つしかなかった。2つの島を結ぶ2本の橋のたもとにしかなかった。
セブの街も4車線と4車線の交差点であっても信号がない。強気な車ほど通行できるが、待っていたらいつまで経っても行けない。必然的にクラクションは鳴りっぱなしだ。
何かあったらクラクション。何も無くてもクラクション。呼吸するように鳴らす。
マクタン島の乗り物
マクタン島では、庶民の足としてトライシクルがある。橋を渡れないのでセブ島には行けない。セブシティにもいると思うが見た覚えがない。
フィリピンの言葉は2回繰り返す言葉が多い。ソクソク・バテバテなど意味は分からないが、
トライシクルはバタバタと呼ばれていた。写真がないのが残念だが、日本製の125ccのバイクに屋根付きサイドカーをくっつけたもので、上海雑技団のように10人くらい乗れる。
いつどこまで乗っても100ペソ請求される。ある時に料金表があったので見てみると、驚くことに3~10ペソ。とんでもないボッタくりだ。
地元民は乗り合いなので、どんどん客が増えていく。運転手の後ろに3人、サイドカーにしがみついて7人とか乗せている。笑いそうになるが、向こうは命懸けだ。
乗っているときに地元の人が手をあげるが止まらない。乗車拒否だ。その人も不思議そうに首をかしげるが、コッチも不思議だった。
ハッとした。外人が乗ったら貸し切りなので100ペソか!アハ体験である。
セブが白い砂浜という時点で間違っている。溶岩島なのでほぼ砂浜はない。マリバゴ地区のホテルが自分の敷地内だけ砂を買って作ったものだ。
恐怖の乗り合いジプニー
ジプニーは危ないから乗ってはいけないと言われていた。天井の低い乗り合いバスで、密着して向かい合って座るのでスリにやられても気が付かないらしい。
しかも、まれに強盗が乗ってくると。強盗が刃物を出したら日本人の常識で財布を出せば助かると思いたいが、とりあえず全員刺されるらしい。後ろから乗ってきて、刺しながら前に来て、身動きができない状態を作ってから物を盗んで後ろから降りる。完璧だ!
トラックの荷台を改造してあるので、運転席は隔離されている。安全。
だが、一度だけ乗ったことがある。夕方ご飯を食べに行こうとしたが、雨の日でつかまらない。しかたなく友人とジプニーに乗った。
マリバゴのホテル前から乗り、目的地まで行くことを確認して座った。マクタン島は街灯がないのでヘッドライト以外は真っ暗だった。
しばらく走ると、マップの辺りで停車した。
「もう帰るから降りてくれ。金いらないから。」
漆黒の土砂降りの中に日本人2人を放り出そうとしている。こいつはアカ~ン。
絶望しかない。行けと言っても行かないものは行かない。降りないと動かないらしい。
仕方なく降りるが、漆黒の闇に土砂降り。いきなりサバイバル。
意外にすぐ来たタクシーに乗ったら解決した。アッという間だった。アハハ
マリバゴの危険なタクシー
マリバゴ地区はリゾートホテルが沢山あるので悪い運転手に狙われやすい。
ホテルを出ると待っているタクシーがいるが、まともな運転手ではない。
何度か遭遇したが、タトゥーまみれのチンピラがウロウロしていた。運転手ではない。
が、タクシーに乗ると、勝手に助手席に乗り込んでくる。恐怖のはじまり。
女を紹介するとか、ヒドイときには白い粉が入った小さいビニール袋を売りつける。
昔、芸人が引退に追い込まれたが、18歳未満の子や覚せい剤などをチンピラから買うと、ホテルの部屋に警官と現れる。
セットアップと呼ばれる、犯罪行為と警察のセットを仕込み恐喝するのだ。
ちなみに、タクシーを降りるとチンピラは降りることなく走り去る。どこへ行くのか?
はじめて連れて行ってくれた先輩(7話 セブとマニラの巻)がなぜ慣れていないとわかってしまったか?
自分も先輩もタクシーの運転手だったのに、
「このタクシーはメーターが付いてないから高いよ?」だったり、
ホテルでも「メータータクシーを呼んでください。」
とか言ってたから、メーターのないタクシーがある訳ないだろ!と思った。
実際半分以上のタクシーはメーターが見当たらない。が、ピタっとしたケースをかぶせていたり、サンバイザーの裏に隠してあったり見つけた時のアハ体験は気持ちよかった。